醤油づくりは微生物による発酵活動なので、
彼らが活躍しやすい環境を作ってあげることが大切。
それぞれの容器にメリット・デメリットが存在すると思います。
昔ながらの醤油と言えば桶仕込みを連想される方は多いと思います。
薄暗い蔵の中で桶に入った諸味を職人がかき混ぜているイメージです。
また、「樽酒」といえば、日本酒を杉樽に一定期間貯蔵したもの。
ウィスキーはカシやナラの樽に詰めて
長期熟成させる工程が重要となっているため、
桶で仕込んだものは単純に良い物というイメージになりがちだと思います。
では、醤油の場合はどうか?
というと、確かに桶で仕込んだものは独特の香りがあります。
ただ、単純に桶で仕込めば桶の香りの付いた美味しい醤油になるかというと、
そうではないと感じています。
桶仕込み醤油を造っている蔵は、少ないながら確実に残っています。
そして、どこの蔵もとても苦労しています。
何が大変かというと発酵熟成の管理なのですが、
基本的に自然の環境に頼って微生物が活動するわけです。
夏の気温上昇に伴って活動を活発にして、
冬に近づくと活動がゆっくりになる・・・といったイメージなのですが、
当然のことながら毎年気温は変わります。
発酵熟成の具合も毎年変わってくるわけです。
さらには、同じ蔵のものでも桶によって中に住みつく微生物が違いますから、
同じ蔵で同じ原料を仕込んでも出来上がる醤油は異なってくるのです。
また、衛生面を考えれば
タンク式の方が優れているという意見もあります。
逆に、蔵に住み続ける微生物たちが
その蔵の味を何百年も保ち続けているのだという意見もあります。
ひとつ確かなのは、桶仕込みの味は一朝一夕でできるものではありません。
そして、この蔵や桶に住みつく微生物の生態系は一度醤油作りをやめてしまうと、
復元することは不可能であるという点。これは確かなことだと思います。